ごあいさつ
病院事業管理者 中田 精三
医療関係者の皆さまにはいつも市立伊丹病院をご支援いただき感謝申しあげます。地域の先生方からの当院地域医療連携室を通じての紹介患者の受け入れと、一部の診療科では救急車から直接に診療科にホットライン電話をしていただくことで、できる限り多くの患者受け入れを図っています。しかしながら現状として、同じ敷地内で解体・建築をしながらの統合新病院の建設のため、建築や工事車両の移動による騒音、振動等から診療にご迷惑をおかけしていますが、今暫くはご理解とご協力のほど宜しくお願い申しあげます。
2022(令和4)年に総務省から「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」が出され、当院では対象期間を2023年度から5年間として「市立伊丹病院経営強化プラン」を作成しており、この中には統合新病院の竣工後の計画も含まれています。統合新病院では高度急性期医療体制を整備して、阪神北準圏域での医療の最先端を目指し、更に断らない医療体制を構築して、地域完結型医療を確立したいと考えています。また、統合新病院では三次救急が可能な救命救急センターと、災害時にも初期救急医療に対応できる災害拠点病院の指定を受けたいと考えています。
社会的および経済的な影響から落札が1年遅れの統合新病院着工となりましたが、2026年8月の竣工に向かって、2023年5月中旬から工事を開始しています。現在は新しく東棟、職員宿舎・保育所棟、立体駐車場の整備が終了しました。まずは医局が6月末に職員宿舎・保育所棟に、外来診察部門と検査部門が8月初旬から中旬にかけ東棟に移転しました。
8月5日(火)からは東棟で外来診療を開始しています。新しい場所での約2年間という一時的な外来ですので、患者動線や面積的な制約があり、何かと機能的に十分でないところがあると思います。そのため患者の皆さまにはご迷惑をおかけしますが、ご理解とご寛容のほど宜しくお願い申しあげます。
統合新病院では近畿中央病院の周囲住民が心配しています近畿中央病院の跡地活用があります。市立伊丹病院経営強化プランにも記載していますが、跡地には兵庫県地域医療構想調整会議の勧めている回復期機能を有する病院の誘致が住民の方には最も良いと考え、伊丹市や伊丹市医師会にご協力をお願いして、調整に向けた検討を開始しています。
この誘致に向けた調整では、阪神圏域の医療機関にアンケート調査を実施し、伊丹市医師会を通じて調整および推薦をいただきたいと考えています。誘致を希望される医療機関に対してはヒアリングを実施して、最も適切と考えられる医療機関に、可能な限り早期にお願いできればと考えています。
今も新型コロナウイルス感染(COVID-19)患者が入院しており、院内感染を防ぐために感染症病棟を維持しております。当院はCOVID-19に対する補助金が無くなったことから、現状では厳しい病院運営が続いています。幸い一般の入院患者数はCOVID-19以前の状態に近づいてきております。そのためCOVID-19後としての新形態を考慮しながら、病院運営に対処したいと考えております。
次の統合新病院に向かっては、これまで通り「安全で、質の高い医療を、効率よく」をこの順にて臨床業務を進め、一歩進んだ病院になるよう努力して参ります。引き続き関係者の皆さまのご支援とご指導を宜しくお願い申しあげます。
(令和6(2024)年8月)
病院長 筒井 秀作
新しい年度を迎えましたので、当院の体制、活動状況、今後の取り組みを地域の皆様にお知らせ致します。 昨年度はオミクロン株による新型コロナ感染症(COVID-19)の第6波・7波・8波において、院内では度々アウトブレークが発生しており、救急患者受入れの一時的な停止や、多くの職員が感染者や濃厚接触者となり自宅待機を余儀なくされるなど、当院の診療業務に多大な影響を受けました。このような状況においても感染対策室を中心として職員全員が協力し、310名(延べ3087名)の新型コロナ患者を受け入れると共に、地域医療支援病院・がん診療連携拠点病院・二次救急医療機関としての診療を継続することが出来ました。COVID-19対応でご苦労されている地域の皆様には、診療制限等でご迷惑をおかけしましたが、温かいご支援を頂き大変感謝しております。
幸いにも、本年は今のところ感染の波は落ち着いており、5月8日にはCOVID-19の感染法上の位置づけが5類へ移行される予定です。今年度はポストコロナの時代に向かってCOVID-19の感染動向を見守りながら、より積極的な患者受け入れを行っていきたいと考えています。
本院では「安全で良質な信頼される医療を提供する事により、地域医療の発展に貢献する」ことを目指し、医療スタッフ、診療機能、診療体制の充実を図っております。その中で昨年度は、遺伝子診療センターと臨床心理センターを開設し、遺伝性乳がん卵巣がん症候群等の診療をより充実させるとともに、脳神経内科と救急科の標榜を開始しました。
本年度には救急科に新たな主任部長を迎え、統合新病院における救命センターの取得を目指し診療体制や人員の整備を開始していく予定です。
本年度においても大阪大学附属病院とのたすき掛け研修の2名を含む12名の医科臨床研修医を迎えました。また、専門研修では内科、整形外科、麻酔科が基幹施設として認定されており、当院で30名の専攻医が専門研修を行います。充実した研修を行い優秀な医師を育てるためには。皆様のご協力が不可欠ですので今後ともご協力をお願い申し上げます。
本院は、地域医療支援・がん診療・急性期医療を中心に統合新病院へ向け診療体制を整備していきます。
本年度もCOVID-19の影響は残るものと考えられますが、感染動向を見据えながら「安全で良質な信頼される医療を提供することにより、地域医療の発展に貢献します。」という理念を実践するために尽力して参りますので、地域の皆様には引き続きご支援をお願い申し上げます。
(令和5(2023)年4月)