呼吸器外科

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主なスタッフ
医師名 役職 学会専門医・認定医
奥村 好邦 科主任部長
兼心臓血管外科主任部長
日本外科学会会員【専門医】
日本呼吸器外科学会会員【専門医】【胸腔鏡技術認定医】
日本がん治療認定医機構【暫定教育医】【がん治療認定医】
肺がんCT検診認定機構【肺がんCT検診認定医】
日本医師会【認定産業医】
日本胸部外科学会正会員
国際肺癌学会会員(IASLC)【Member】
The Society of Thoracic Surgeons【International member】
Da Vinciサージカルシステム【認定医】
兵庫医科大学非常勤講師
がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
大野 文暢 専攻医

更新前の記事外科スタッフ

特色

 肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、悪性胸膜中皮腫、気胸、膿胸などの呼吸器疾患の手術治療を主に行っています。
手術総数は2010 年の開設以来約1900 例を超え、肺癌症例は700 例に達しました。
 スタッフは呼吸器外科専門医2名ですが、手術の際には麻酔科や手術室看護師、臨床工学技士との呼吸器手術チームで、日常診療では呼吸器内科や、定位放射線治療なども可能な放射線科、がん化学療法看護認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師、緩和ケア認定看護師、理学療法士を含めた呼吸器診療チームとして、患者さんの立場に立った「自分や、自分の家族 が受けたい医療」を提供していきたいと考えています。

診療内容

手術の低侵襲化をめざして:体に優しい手術

肺癌などの手術方法として、開胸手術と胸腔鏡手術(Video Assist Thoracic Surgery :VATS)、ロボット支援下手術(Robot Assist Thoracic Surgery :RATS)、単孔式手術(Uniport-VATS)があります。

開胸手術

肋骨に沿って15~30㎝ほど皮膚を切り肋骨を広げて胸の中にアプローチ、腫瘍に侵された肺を切除する方法で、筋肉のダメージと術後疼痛が大きく、麻酔も全身麻酔と疼痛管理のための硬膜外麻酔などの併用が必要です。今でも肋骨や横隔膜・大血管などに浸潤した比較的進行した肺癌での肋骨合併切除・胸壁再建などの場合に使用しています。

胸腔鏡手術(以下VATS)

胸腔鏡下手術(内視鏡手術)

日本で保険適用を得て約20 数年、呼吸器外科手術の約8 割以上を占める今や標準的な手術方法。VATS は、胸に10-20mm 程度の穴を数か所あけ、10mmの胸腔鏡と呼ばれるカメラを用いて胸の中をテレビ画面に写し出し、画面を見ながら専用の器具を使って穴から手術操作を行います。当科では摘出する肺を取り出すための小切開(4-7cm:腫瘍の大きさに応じて)とカメラ孔(1.5cm)だけで、2 ~ 3 時間でおわるハイブリッド胸腔鏡手術(Hybrid-VATS)を主に行っています。

小開胸からの操作

肋骨を切除せず傷が小さいため手術時間も短縮、術後の痛みも少なく、入院期間も約10日以内となっています。さらに、4-7cm の1 つの穴だけを用いて手術を進める単孔式胸腔鏡手術(Uniport--VATS)も、比較的早期の症例を選んで行っています。

ロボット支援下手術

伊丹病院ではさらに侵襲の少ない、かつ安全性の高い手術を行うために、2021 年、兵庫県で20 番目の施設として手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入、呼吸器外科手術としては、すでに30例を超えました。
手術を行うのはロボットではなく医師で、VATSと同じく胸にあけた4か所の穴から挿入されたロボットアームを3 次元モニター視野のもと、医師の手と完璧に連動させ遠隔操作します。ロボットアームにしかできない動き(関節の360 度回転など)が加わることで、2 次元モニターのVATS では困難であった操作が可能になりました。2018 年の保険適用をうけ、日本での手術支援ロボット「ダヴィンチ」による手術は急速に増加、2022 年度は約7000 件(肺癌手術総数は約45000 件)に達し、将来的にはVATSに代わる可能性もあります。なお、患者さんの入院治療費はVATSと同じです。

手術支援ロボット daVinci

すりガラス様陰影(GGO)

手術前と変わらないQuality of Lifeを実感、維持できるように、切除後の肺機能をできるだけ温存するために、肺葉切除術から肺区域切除術へ、HybridVATS から完全VATS、単孔式VATS (uniport-VATS)、ロボット支援下手術(RATS)へと、より高度な専門性の高い縮小手術化をすすめています。

また、肋骨浸潤やリンパ節転移などを含む進行癌、pancoast 型肺癌などの拡大手術を行う際にも、可能な限り機能を温存しつつも安全/確実を第一に、術前には抗癌剤・放射線併用治療を施行したりして、少しでも再発の可能性をなくす努力を行っています。

悪性胸膜中皮腫に対しては、兵庫医科大学呼吸器外科と協力して、術前の抗癌剤治療から、胸膜肺全摘出術(EPP)や胸膜切除肺剥皮術(PD)、術後放射線治療に到るまで、綿密にスケジュールを組んで根治を追求した治療を行っています。

治療実績

2022 年度の実績は、全身麻酔手術157例と微増しており、特に肺癌66 例(男性37 例、女性29 例)は過去最高となっています。このうち区域切除は8 例、気管支形成が1例あります。
気胸35 例、転移性肺腫瘍13 例(大腸癌由来5 例、乳腺癌由来2例など)、急性膿胸10 例、縦隔腫瘍9 例、ロボット支援下手術(RATS)は肺癌16 例、縦隔腫瘍7 例です。