マンモグラフィ
マンモグラフィとは
マンモグラフィとは乳房のX線撮影のことです。乳房はやわらかい組織でできているため専用のⅩ線撮影装置で撮影します。がんをはじめ乳房にできる病気をほとんど見つけることができ、しこりとして触れない非常に早期の乳がんのサインである石灰化(砂粒のようにみえるもの)を写し出せるのが大きな特徴です。
乳房は左右対称の臓器であるため、圧迫板で乳房をやや強めに挟みながら両側各2方向撮影し、左右比較する事で異常を発見します。検査にかかる時間は10分から15分ほどです。
撮影にあたっての食事制限、前投薬など前処置は全くありません。
撮影時、圧迫板で乳房を挟むため痛みが伴う場合があります。
以下の方は、撮影技師にお伝えください。
- 心臓ペースメーカーを装着されている方
- 豊胸手術を受けられた方
- V-Pシャントをされている方
- 妊娠中の方や授乳中の方
- 制汗剤やパウダーをされている方(石灰化に似て写る事があります)
富士フイルム社製 AMULET Innovalit |
乳房撮影専用装置
2018年5月に新機種導入しました。日本医学放射線学会の定める仕様基準を満たした乳房撮影専用装置『富士フィルム社製 AMULET Innovality』を使用しています。今までの撮影より被ばくは少なくなり、トモシンセシスという撮影ができるようになりました。
トモシンセシス撮影とは、角度を変えて複数の方向から撮影し、収集した画像データを三次元的に再構成することで、乳房を1mm毎のスライスでより詳しく診断することができる最新技術です。トモシンセシス画像では、乳腺内に隠れて見えなかった病変がスライスすることで確認することができます。通常のマンモグラフィとトモシンセシス撮影が、10秒程度の1回の圧迫で両方撮影することができます。
当院はマンモグラフィ検診精度管理中央委員会より、良い画質を得るためのマンモグラフィ施設・画像・線量評価が基準以上であるという認定(施設画像認定)を受けています。又、機器の保守管理として定期的に品質管理を行い、高精度のマンモグラフィを提供しています。
撮影にはマンモグラフィ講習会を受講し、検診マンモグラフィ撮影認定放射線技師の認定を取得した技師が担当しています。読影は、検診マンモグラフィ読影認定医師2名によるダブルチェックで行われています。
Q&A
乳がんとは
乳がんは、乳房にある乳腺に発生する悪性腫瘍です。症状は、しこり、血性乳頭分泌、乳頭の陥没、皮膚のくぼみ、痛み、脇の下のしこりなど、実にさまざまです。
今日本では、乳がんにかかる女性が年々増加し、10人に1人がかかると言われ亡くなる方は現在1年間に約1万人です。乳がんは女性の壮年期(30〜64歳)のがん死亡率の第1位となっていますが、無関心な人が多いのも現状です。乳がんの予防法はありませんが、早期発見することにより約90%が治癒しますので、定期的に乳がん検診を受けましょう。
乳がんの危険因子
乳がんの直接的な原因についてはまだはっきりしたことはわかっていませんが、統計的な調査によって、乳がんの危険因子が明らかになってきています。しかし危険因子に当てはまる項目が多い人が必ず乳がんになるとは限らず、またゼロだから絶対大丈夫とはいえません。
- 40歳以上の方
- 30歳以上で未婚の方
- 高齢初産や、出産をしていない方
- 初潮が早く、閉経が遅い方
- 肥満の方(特に閉経後)
- 血縁者に乳がんになったことがある方
- 良性の乳腺疾患になったことがある方
- 乳がんになったことがある方
撮影する時期は?
乳房を圧迫するため、乳房がはっている時期は避け、できれば生理から1週間くらい後の乳房のはりや痛みがなくなり柔らかい状態の時がよいでしょう。
乳房圧迫はなぜ必要?
マンモグラフィでは乳房を圧迫板で挟みます。乳房は人によって厚みも大きさも違います。そのため診断能の高い写真を得るためには乳房を均等に圧迫することが必要です。乳房を圧迫することによって、乳腺と脂肪の重なりを分けることができ、コントラストのよい高分解能な写真を得られ、体動による写真のボケも少なくなります、また被曝線量も低減することができます。やや強めに押さえますが、一定以上の圧力がかからないような設定になっておりますのでご安心ください。
圧迫による痛みは?
乳房を圧迫するため痛みを伴うことがありますが、高画質な写真を得るためには適切に圧迫することが重要です。しかし、耐え難い痛みや違和感があればすぐに技師に伝えてください。柔軟に対応させていただきます。
被曝について
X線検査ですので、放射線被曝がありますが、乳房だけの部分的なもので、放射線被曝に敏感な骨髄や生殖腺などには影響ありません。マンモグラフィを1回撮影するときの被曝は、東京からニューヨークまで飛行機で旅行するときにうける宇宙線による被曝と同じくらいです。安心して検査を受けてください。
自己検診は?
乳がんは身体の表面に近い部分に発生するため, 自分でも見つけることができます。月に1回、生理が始まって1週間後の乳房が柔らかい状態の時に自分で行いましょう。閉経後の方は毎月1回日を決めて行いましょう。
鏡の前で
腕を高く上げて、左右の乳房の形、大きさの変化や乳輪の変化、ひきつれやくぼみ、乳首のへこみ、湿疹がないか確認します。また腕を腰に当ててしこりやくぼみがないか観察します。
浴室で
石鹸がついた手で触れると乳房の凹凸がよくわかります。
- 1. 4本の指をそろえて、指の腹とろっ骨で乳房をはさむように触れます。「の」の字を書くように指を動かします。しこりなどがないか脇の下から乳首まで調べます。
- 2. 乳房や乳首をしぼるようにして乳首から分泌物が出ないかを調べます。
あおむけで
背中の下にあまり高くない枕などを入れて、浴室と同じように行います。
異常に気付いたら
気になるしこりや変化を見つけた場合は、検診を待たず、すぐに乳腺外来を受診してください。