ごあいさつ
病院事業管理者 中田 精三
常日ごろより関係者の皆様には市立伊丹病院をご支援していただき篤くお礼申し上げます。
当院では公立学校共済組合近畿中央病院と統合して新病院の建設を目指しておりました。この統合新病院の入札では、ロシアのウクライナ侵略、急激な円安、それに伴う物価上昇にて予定入札価格が急上昇することとなり2回の落札不調を経験しました。しかしながら2月15日には何とか落札をしていただき、現状の病院運営での臨床業務では「安全で、質の高い医療を、効率よく」を基に進めて行くと共に、2026年の竣工に向かって整備工事を進めてまいります。現在は測量を行って詳細な計画を立てているところであり、5月中には実際の工事が開始されると考えています。今後は同じ敷地内で解体・建築をして建替えを行うことから、騒音、振動、敷地の狭隘化、工事車両の移動等にて患者様にはご迷惑をおかけしますが、何とぞご理解のほど宜しくお願い申し上げます。
約3年間続いている新型コロナウイルス感染(COVID-19)では、第8波のピークからは漸減して感染者の全件登録ではなくなりましたが、今では全国で1日8,000人前後の数値にまでなっています。兵庫県でも第8波のピーク時の約12,000人/日から約300人/日まで減少してきました。その結果、当院でも時々数人程度の入院患者がいるのみとなっています。
COVID-19に対する世界的な対応の変化から、政府もマスク着用は3月13日より個人の判断に任せるとし、5月には感染症法における分類が5類に変更になる予定です。外国からの旅行者の制限も緩くなって増加しています。しかも、未だ感染数の下げ渋りや感染性が低下したとの明らかな報告がないことから、死亡率の高い高齢者が多い介護施設や病院では、感染の拡大が生じないよう今後も細心の注意が必要と考えています。当院ではCOVID-19以前の制限のない状況にまで緩めることが今暫くはできないかもしれませんが、COVID-19患者の推移を見守りながら通常業務に向かって適切な対応を考えていきたいと思います。
総務省は平成20年度より公立病院の改革を推しすすめており、令和4年には「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」を出しています。これに対し、当院では対象期間を令和5年度から令和9年度として「市立伊丹病院経営強化プラン」を作成しています。この中には統合新病院の竣工後の計画も含まれており、この5年間では大きな変化が生じてくると考えています。
また、令和6年からは医師の働き方改革が稼働することになります。現状での準備では、各医師の勤怠状況の管理資料を作成して伊丹労働基準監督署に提出し、当院が推しすすめている「A水準」が認可されるかどうかを経過観察しています。タスクシフト/シェアを推進し、医師の負担を軽減しつつ、医療関係職種がより専門性を活かせるよう各職種の業務範囲の拡大等を行うとのことですが、時間外に行ってきた業務を時間内に終わるようにするためには、結果的には人を増加させるか全体としての業務量を減少させる以外に良い方法は浮かびません。効率化はこれまでもしてきていますので、効率化で無理がかかると、勤務時間内の業務が増加してむしろ身体に負荷ががかかる可能性があります。以上のことを考慮しながら職員の健康には十分注意を払って病院運営を継続していきますので、皆様のご協力とご理解を宜しくお願い申し上げます。
(令和5(2023)年4月)
病院長 筒井 秀作
新しい年度を迎えましたので、当院の体制、活動状況、今後の取り組みを地域の皆様にお知らせ致します。 昨年度はオミクロン株による新型コロナ感染症(COVID-19)の第6波・7波・8波において、院内では度々アウトブレークが発生しており、救急患者受入れの一時的な停止や、多くの職員が感染者や濃厚接触者となり自宅待機を余儀なくされるなど、当院の診療業務に多大な影響を受けました。このような状況においても感染対策室を中心として職員全員が協力し、310名(延べ3087名)の新型コロナ患者を受け入れると共に、地域医療支援病院・がん診療連携拠点病院・二次救急医療機関としての診療を継続することが出来ました。COVID-19対応でご苦労されている地域の皆様には、診療制限等でご迷惑をおかけしましたが、温かいご支援を頂き大変感謝しております。
幸いにも、本年は今のところ感染の波は落ち着いており、5月8日にはCOVID-19の感染法上の位置づけが5類へ移行される予定です。今年度はポストコロナの時代に向かってCOVID-19の感染動向を見守りながら、より積極的な患者受け入れを行っていきたいと考えています。
本院では「安全で良質な信頼される医療を提供する事により、地域医療の発展に貢献する」ことを目指し、医療スタッフ、診療機能、診療体制の充実を図っております。その中で昨年度は、遺伝子診療センターと臨床心理センターを開設し、遺伝性乳がん卵巣がん症候群等の診療をより充実させるとともに、脳神経内科と救急科の標榜を開始しました。
本年度には救急科に新たな主任部長を迎え、統合新病院における救命センターの取得を目指し診療体制や人員の整備を開始していく予定です。
本年度においても大阪大学附属病院とのたすき掛け研修の2名を含む12名の医科臨床研修医を迎えました。また、専門研修では内科、整形外科、麻酔科が基幹施設として認定されており、当院で30名の専攻医が専門研修を行います。充実した研修を行い優秀な医師を育てるためには。皆様のご協力が不可欠ですので今後ともご協力をお願い申し上げます。
本院は、地域医療支援・がん診療・急性期医療を中心に統合新病院へ向け診療体制を整備していきます。
本年度もCOVID-19の影響は残るものと考えられますが、感染動向を見据えながら「安全で良質な信頼される医療を提供することにより、地域医療の発展に貢献します。」という理念を実践するために尽力して参りますので、地域の皆様には引き続きご支援をお願い申し上げます。
(令和5(2023)年4月)